研究概要 |
I.回収状況:配布数933,回収数315,無効回答数28,有効回答287(28.9%) II.調査結果 1.属性:病院基盤136(47.4%),訪問看護ステーション109(38%),不明42(14.6%) 2.実施状況: 1)今回調査した61全行為項目が実施されており、50%を超えていた22項目の内、管理・指導に関するものは服薬,膀胱留置カテーテル,経管栄養,在宅酸素療法,自己注射,気管カニューレである。処置は、褥創・創傷処置,機能回復訓練,気管内吸引,経管栄養,膀胱留置カテーテル交換,吸入(ネブライザー)である。これらの処置は、「対象患者がいれば実施する」を含めると90%以上となる。褥創の処置は全施設が実施している。このことは、在宅ケアの対象者のADLは低く医療依存度の高いことを示している。 2)(1)「実施している」,(2)「対象患者がいれば実施する」,(3)「将来的に実施したい」に重複回答はほとんどみられず、(1)に(2)を加えると36項目が50%を超える。 3)その一方で、1)の内、(4)「対象患者がいるが実施していない」と(5)「対象患者がいても現状でも実施するつもりはない」を加えた率が30%を超えるものは、褥創の壊死部の処置,気管カニューレ(金属)の交換,天滴注射の実施の3項目である。(1)+(2)+(3)を実施する意思がある行為とすると(4)+(5)は、実施する意思のない行為といえるが、在宅ケアに携わる看護職者間で実施判断が異なり、その差がみられるものといえる 4)「褥創の処置」を除いた全項目で、(4)+(5)(していない,するつもりはない)の率が、「看護婦は実施しない規則になっている」という施設方針の率よりも多くなっている。このことから、対象者、現場の状況その他の理由により実施者である看護職者自身の判断により実施を見合わせていることが窺われる。 5)(4)+(5)が、50%を超えるものは、動脈採血,抗ガン剤のワンシヨツト,気管内洗浄,死亡時刻の確認の4項目である。これらは、通常、病院内では医師が実施しているものである。 平成9年度は、1)看護職者間で実施,判断の異なる項目とその理由,2))年齢,臨床経験,教育背景による違い,3)医師の支持状況,4)施設間の違い等の視点から分析していく。
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