研究概要 |
今回、医療依存度の高い患者を対象とした61項目全てが実施されており、うち実施割合が5割を超えるのは36項目、管理・指導に関する全15項目は「対象患者がいれば実施する」を合わせると50%を超え、今後、積極的に実施していく行為と考えられる。「実施しない、するつもりはない」の割合が高い4項目は、施設の「しない規則になっている」割合の高い項目と一致していた。「褥創の処置」を除く全項目において、この割合が高く看預婦の判断で実施を見合わせていることが推測される。クレイゾーンの9項目から、一人で実施する機会の多い在宅ケアでは「する」か「しない」かのいずれかに意思決定がされていることが窺われる。訪問看護ステーションよりも病院基盤の施設の方に実施割合は高く、医療器械,滅菌操作,異物挿入,薬液注入に関連するものに差がみられた。訪問看護経験年数を5年目で区分し実施割合を比較してみると、病院基盤の施設には差はなく、訪問看護ステーションでは5年未満の者に高い項目がみられ、5年未満の者のみの比較でも病院基盤の実施割合が高い。臨床経験部署別では、実施割合に差はみられない。以上の実施状況から、設置主体,経験年数により特徴がみられ、また、施設の方針よりもサービスの直接の提供者である看護婦自身の状況判断が優先されていることが窺われた。 医療依存度の高い患者を対象とする訪問看護を推進するには、各施設で看護婦の具体的業務内容及び、医師の指示は「包括的」か「個別・具体的」であるべきかについても書面で明示される必要があり、これにはプロトコール等の規定が有効である。今後、アメリカのナ-ス・プラクティショナ-のように薬剤をプロトコールに基づいて使用するには、より実践的で高度な知識・技術を研修等により修得する必要がある。在宅サービスを効果的かつ効率良く提供していく上で、今後整備すべき一つの方向性が明らかにされたといえる。
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