援助の対象者となるコミュニケーション能力弱者のQOLについてはその人の生活にかかわる人が自分の生活の中に無理なく組み入れていくことと、かかわることそのものが嬉しいこととつながるということが関係する。対象者とコミュニケーションがとれるその時間が常に共生関係にあるということにある。コミュニケーション能力弱者は自らの弱い部分について変えるということができない。人に依存するということが対象者にとって負担にならないことと、かかわる側にとってその人が存在し生きていることが“大事で重要"であるならば、両者の関係は展開する。介護や介助によるかかわる側の体にかかる負担というものも乗り越えられることが多いものの、その時間量が多くなるほどに、肉体的疲労の蓄積から精神的疲労につながる。これは両者にとってのQOLの問題の危機に直面することになる。援助はかかわる側にも必要となる。そこにサポートシステムが位置づく。かかわる人の疲労の要因の第一には、対象者との一場面ごとのコミュニケーションにある。そこでの内容が関係展開していくということであれば疲労観というものは少ないし、中断・挫折の連続ということになれば疲労の蓄積は増すことになる。コミュニケーション能力弱者である、乳幼児・障害児・者、失語症、痴呆性老人、重病人のそれぞれについてのコミュニケーション場面でのかかわりとして配慮する内容が多少違いがある。対象児・者ごとにまとめた。対象者に専門職としてかかわる人たちにはとりわけ求められる。養成の内容に組み入れる演習プログラムについても提示した。援助を受ける対象児・者のまわりの人たちがその内容の配慮をすることによって、その人たちのQOLが高くなるということになる。
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