研究概要 |
クロレラ(Chlorella vulgaris)をビタミンB_<12>を添加したMC培地で培養すると無添加よりも生育が促進され、クロレラに蓄積されたビタミンB_<12>の含有量はケミカルルミネッセンス法により47.4ng/wetgであった。スサビノリ(Porphya yezoensis)についてはSWM-III培養液にコバルトを1,000倍、5,000倍、10,000倍量添加して3ヶ月間培養しビタミンB_<12>定量の試料を調製した。10,000倍添加条件では生育阻害がみられ、5,000倍添加以下の培養条件では通常通りの成育がみられたので、さらに2,000倍、3,000倍のコバルトを添加条件で生育させた試料を調製した。ビタミンB_<12>を定量するためLactobacillus leichmannii ATCC7830を用いる方法を試みたが再現性が認められなかったので、Euglena gracilis Zを用いる微生物定量法に切り替えるとともに、ケミカルルミネッセンス法を行っている。 養殖スサビノリを凍結乾燥し、熱水、メタノール、酢酸エチル、アセトン、n-ヘキサン、クロロホルム-メタノール(2:1)で抽出した抗酸化性と抗菌性を調べている。また、スサビノリを70%エタノールで抽出して後Dowexカラムにかけて強酸性画分、非イオン性画分、酸性アミノ酸画分、中性アミノ酸画分、塩基性アミノ酸画分に分画して抗酸化性を調べると、塩基性アミノ酸画分に強い抗酸化活性が検出された。そこで、この画分をアミノ酸分析したところ、抗酸化活性を持つ遊離アミノ酸とジペプチドとしてメチオニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、3-メチルヒスチジン、β-アラニル-L-ヒスチジン(カルノシン)、N-β-アラニル-メチル-L-ヒスチジン(アンセリン)が検出された。そこで、ヒスチジン関連物質について詳細に抗酸化活性を調べている。特に、アンセリンがスサビノリに検出されたのは初めてであり、動物の骨格筋や脳の中に存在するアンセリンの生理機能と関連づけて生体内抗酸化活性について検討している。
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