[目的]本年度は、平成7年度に実施した日本人学校の児童・生徒を対象にした調査の統計的処理を行い、考察を深めるとともに、新たに、海外生活の経験を有する帰国子女および国内でしか生活経験をもたない小・中学生を対象に、家庭生活環境意識や家庭科に対する認識について調査を実施した。そして、本研究の総括である平成9年度にむけて、家庭科教育における帰国子女の指導に対する提言を行うための基礎資料の収集に努めた。 [方法]1996年9月〜1996年12月にかけて、帰国子女教育研究協力校およびセンター校の小学校15校、中学校14校の児童・生徒を対象に調査を実施した。一般小学生707名、一般中学生1086名、帰国小学生121名、帰国中学生303名の児童・生徒の調査票を回収し、統計的処理を行った。また、日本の中等家庭科教科書7冊を分析対象とし、国際理解教育と家庭科について論文を投稿した。 [結果]結果の一部を例示すると、海外生活の経験や家庭科学習経験の有無により、家庭生活や異文化に対する意識や態度、家庭科に対する意識に特色がみられた。 本研究の最終年である次年度は、これまでに収集したデータをもとに、日本人学校の在学生、帰国および一般児童・生徒等、三者間における考察を深め、家庭科教育の立場から帰国児童・生徒が海外生活経験を家庭科学習に反映させていくために、家庭科教師が支援可能な方策を究明し、教育実践の場で検証していく。 また、日本の中等家庭科教科書は、異文化に関する記述が少なく、国際化に対応した教育を目指すためには、異文化を導入した教育内容の再検討が必要であるという知見を日本教科教育学会誌に投稿し、20巻3号に掲載予定となった。
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