[目的]平成7年度に実施した日本人学校の児童・生徒を対象にした調査および平成8年度に実施した帰国子女および海外生活経験を有しない一般の小・中学生を対象にした調査の統計的処理を行い、考察を深めた。さらに、シンガポール日本人学校等の海外子女教育施設に通学する児童・生徒の過程生活や家庭科についての実態や意識について調査した。そして、本年は研究の最終年であるため、家庭科教育における海外・帰国子女の指導に対する提言を行うための基礎資料の収集に努め、報告書を作成した。 [方法]東京学芸大学情報処理センターのSASを使用して、日本人学校小学部1979名、中学部1453名、一般小学生707名、一般中学生1086名、帰国小学生121名、帰国中学生303名の児童・生徒の調査票を回収し、統計的処理を行った。シンガポール日本人学校、香港日本人学校の調査では、SPSSXを使用して前者162名、後者610名の調査票を回収し統計処理を行った。 [結果]これまでに収集したデータをもとに比較検討したところ、学校段階や海外生活の経験、家庭科学習経験の有無により、過程生活や異文化に対する意識や態度、家庭科に対する意識に相違がみられた。また、日本人学校の在学生、帰国および一般児童・生徒等、三者間では明らかに過程生活環境に対する意識には特色がみられた。家庭科教育の立場から帰国児童・生徒が海外生活経験を家庭科学習に反映させていくために、無家庭科教師が支援可能な方策を究明し、教育実践の場で検証していくことの必要性を再認識した。
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