[目的]本研究は、日本人学校の児童・生徒および帰国子女の生活環境や家庭科に対する意識を解明し、特徴を浮き彫りにした。また、在外教育施設として大きな役割を担っている日本人学校の家庭科教育の現状や課題を明らかにすることを目的とした。さらに、高等学校家庭科教科書における国際理解教育に関する記述内容について検討した。そして、海外・帰国子女教育における家庭科指導を再考し、21世紀の海外・帰国子女教育の望ましい在り方を究明することを意図した。 [方法]質問紙調査法により、まず平成7年度に日本人学校の児童・生徒及びシンガポール日本人学校の調査、平成8年度に帰国子女の調査及び海外生活経験を有しない一般の小・中学生を対象にした調査、さらに日本人学校の教師調査を実施した。また、平成9年度には香港日本人学校の調査を実施した。 分析に際しては、東京学芸大学情報処理センターのSASを使用して統計処理を行った。また、調査によっては統計ソフトSPSSを使用して解析を行った。 [結果]これまでに収集したデータをもとに比較検討したところ、学校段階や海外生活の経験、家庭科学習経験の有無により、家庭生活や異文化に対する意識や態度、家庭科に対する意識に相違がみられた。また、日本人学校の在学生、帰国および一般児童・生徒等、三者間では明らかに家庭生活環境に対する意識に特色がみられた。 家庭科教育の立場から帰国児童・生徒が海外生活経験を家庭科学習に反映させていくために、家庭科教師が支援可能な方策を究明し、教育実践の場で検証していくことの必要性を再認識した。
|