本研究では、以下のような成果が明らかになった。 (1)児童の「環境体験」と「環境認識」・「環境倫理」との関係について ・日常生活における「環境体験」の希薄化が指摘されるが、本調査でも「自然体験」や「労働体験」が子どもの日常生活から遠ざかりつつあることが明らかにされた。 ・しかし、日常生活の中で獲得される環境に関する知識(これを「生活知」と呼ぶ)であろうと、学校教育で伝達・形成される知識(これを「学校知」と呼ぶ)であろうと、情報化社会の中で生きる子どもたちの環境問題や環境についての認識・知識はマスメディア等を通して伝達される二次的間接的情報によって構成されがちである。つまり、自ら環境に働きかけ、環境を感じ取り、環境問題の現状を自分で検証して獲得する一次的直接的な知識は欠如しがちである。 ・従って、環境教育に取り入れる「環境体験」は、「自然環境と触れあうことを目的とするもの-『生活知』に繋がる『環境体験』と、「自然生態系の観察や社会生活と自然環境との関係を探る観察・調査-『科学知』に繋がる『環境体験』」の二つの側面が必要になる。 (2)環境教育カリキュラム開発のためアプローチについて 社会科を中心としつつ「環境体験」の取り入れ方によって、環境教育カリキュラム開発には次の3つのアプローチの可能性がある。それを3つの実践によって示した。 1・「社会科としての環境教育」の可能性を探るもの 2・既存の教科枠を維持しつつも、「他教科との連携を図った大単元構成」の可能性を探るもの 3・「特定の場所をフィールドとして縦断的継続的に探究する環境教育」の可能性を探るもの
|