中学校段階での学習者の日常生活に密着した素材としてどのようなものが選択可能であるのかを生徒用調査及び教師用調査を作成して調査をした。また、生徒の授業観をFSM法を使って構造化する方法を試行した。 1.素材の抽出 中学校第1分野の教科書、及びその指導書に記述されている内容、挿絵、写真等から素材を抽出した。その総数およそ1000項目。これを使って予備調査を行い、およそ200頁目まで精選した。さらに、この完成した調査票を用いて、中学生がどのような素材に興味・関心を抱いているかを調査した。分析方法は予備調査の段階でクラスター分析により素材を精選し、本調査においては数量化理論第III類を用いた。これにより生徒の教材選択の軸が明かとなった。また、この分析によって得られた各素材のウェイトをその素材のメンバーシップ関数とすることで、ファジィシステム理論に適応できる素材データベースを構築することができた。これは生徒の必要性に応じた素材をメンバーシップ関数で抽出することを可能とするものである。 2.教師側から見た生徒の授業観のFSM法による抽出 FSM法を使って教師を通した生徒の授業観を抽出する方法について試行した。これにより生徒が授業に何を望んでいるかを教師がどのように受け止めているかを構造化することができる。抽出された構造は人間が本来持っている感性を反映させることができ、分析過程でパラメータを変化させることにより意識構造の微妙な揺れを表現させることも可能となった。
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