研究概要 |
本研究の目的は,知的チュータ型教育支援システム(ITS :Intelligent Tutoring System)と環境型教育支援システム(ILE:Interactive Learning Environment)とを融合させた教育支援システムの構築手法を明らかにすることである。両システムの融合のためには、両システムに共通の学習者モデル・対象世界モデルを実現すること、両システムを統括する教育戦略を設計することが主な課題となる。特に本年度は以下ような成果を得た。学習者モデルについては、昨年度に引き続きILE部において学習者の持つ知識を推定する手法について検討し、学習者に一定の目的を与えた上で、学習者がその目的を達成する行為の系列から、目的達成に必要な知識の修得状況を推定する処理手法を明らかにした。対象世界モデルについては、これまで我々がITS部において利用してきた記号的な定性モデルをILE部で共通に利用するために、モデル表現及びシミュレーション機構の一部を拡張した。教育戦略については、知識獲得・知識定着の各プロセスにおけるITS・ILE各々の役割について考察し、ILEを知識獲得に利用する場合・知識定着に利用する場合のそれぞれについて適切な初期環境を設定するための戦略、ITSにおいて学生に演繹的に知識を発見させる支援を行う際の課題設定の戦略などについて具体的に設計を行った。以上得られた知見の一部をもとに、試作システムの設計と評価を行った。
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