知能ロボットに重要な視覚機能には、視覚情報などから物体の種類・名称・性質・状態などを得る物体認識機能が不可欠である。一般に、一つの物体を認識するための視覚情報処理において、目的のすべてを満たす処理(以下全体目的用処理という)方式は一つとは限らないし、目的の一部分を満たす処理(以下部分目的用処理という)方式は既開発・未開発を含めて多数存在する。 本研究は、複数の部分目的用処理を組み合わせることにより全体目的用処理を実現する一般性ある処理方式を得ようとするものである。このうち、平成7年度は、(1)複数種の部分目的用処理方式の具体的検討と、(2)ある種の全体目的用処理方式の基礎検討を実施した。(1)については、 (1a):二眼立体視方式(異光軸の撮像装置二台の画像から物体の距離情報を得る方式) (1b):三眼立体視方式(異光軸の撮像装置三台の画像から確実度高く物体の距離情報を得る方式) (1c):照明立体視方式(異光軸のスポット光照明装置と撮像装置の画像から物体の距離情報を得る方式) を検討し、部分目的処理方式の三例を実験的に実現した。(2)については、 (2a):(1a)により物体の輪郭像の(三次元)位置を求め、 (2b):(2a)で求めた輪郭のうちから、(1b)により物体の面の輪郭に相当するものを選別し、 (2c):(2b)で求めた面のうちから、(1c)により三次元空間における実体ある面を選別する、 方式を検討し、多角柱状物体の形状・寸法・位置などを進展的に認識する全体目的用処理方式の一例を実験的に実現した。
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