微粒子発生方法は幾つか知られているが、当研究室ではボ-ト法を用いている。大きな理由は、粒子径が不活性ガスの量とボ-トの温度によって比較的制御しやすいことにある。今回の実験ではアルミニウム微粒子を用いている。これは、生成される微粒子の形状が球形となり、光の透過・散乱実験結果と理論との対応が容易となることによっている。 現在までに行った実験以下のとうりである。(1)発生させた微粒子の粒子径を電子顕微鏡による直接測定、(2)微粒子径の違いにより照射した白色光の散乱スペクトルの変化、(3)紫外光によって微粒子がプラズマ状態になっていることを微粒子中に吊した球の電化を正負反転させることで確認、(4)気体プラズマと微粒子とが混在状態における微粒子の電荷獲得プロセスス、(5)微粒子プラズマが電場中で整列と凝縮過程、(6)レーザー光の透過率の変化による微粒子プラズマ密度測定、(7)散乱光強度の変化による粒子径と密度の同時測定、を行ってきた。現在は、微粒子プラズマ中にNd-YAGレーザー光照射によって急激な攪乱を与えたときに起こるプラズマの素過程を調べる実験装置を構築中である。また、微粒子から放射される赤外光のスペクトルによって温度を測定する試みを模索中である。さらに、静電場による微粒子の偏向量を測定することで、微粒子が獲得している電荷の量を求めるための装置の改良を行っている。 現在までの研究で得られた成果は以上のようである。(1)紫外線照射された微粒子は正の電荷を持った粒子と負の電荷を持った粒子とが混在し、プラズマ状態となっていることが確認された。(2)気体プラズマ中に浸された微粒子は負の電荷を多く獲得していた。これは、理論で予測されている結果とよく一致していた。(3)強い電場勾配が存在すると微粒子の整列と凝縮が起こり、電圧が印加された細線の周りに針葉樹状に整列した。(4)透過光の減衰量によって微粒子プラズマの密度を正確に決定することができた。
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