平成8年度は、本研究の最終年度にあたり、前年度に引き続き、核融合炉室内緊急トリチウム浄化装置のための、膜透過分離、透過後の水蒸気除去、金属透過表面処理研究をおこなった。特に本年度に明らかにした結果は次の通りである。 (1)室内緊急トリチウム浄化システムには、トリチウム水素と水蒸気を合わせて、透過膜で回収する方法が、好都合であることを実験と計算の比較から明らかにした。 (2)ポリイミド膜を透過した後の水蒸気を含むガスを、外側冷却垂直円管内に吹き込み冷却除去する実験から、冷却管内でミストが臨界過飽和条件に従い発生し、除去効率が減少することを確認した。従って、臨界過飽和条件にならない程度に冷却し除去するのが望ましいとの知見を得た。 (3)Pd表面処理は、酸素のない雰囲気では有効であるが、酸素が数100ppm存在すると、水素と反応して水を形成し、表面処理効果が落ちることが、金属粒子を用いた実験からわかった。 これらの結果を、それぞれ理工額における同位体元素研究発表会(平成8年7月)、化学工学会飯塚大会(平成8年7月)、原子力学会秋の大会(平成8年9月)で発表するとともに、成果をFusion Technology誌とFusion Engineering Design誌に投稿し、現在査読を完了している。また二年度にわたる研究をまとめ、研究成果報告書を書き上げた。
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