研究概要 |
北海道上川浮島湿原において,上川営林署の採取許可を得て,調査および試料の採取を行った. 1.植生と微地形との関係を調べるため,湿原中央で直交する2本のラインを周辺の低木群落から湿原全体にかかるように設け、ライン沿いに比高の測量を行い,2方向の地形断面図を作成した。また,ライン上の23地点で,表層花粉組成と比較するための相対被度による植生調査を行った。現地での植生調査の際に不明であった種の同定作業も,これまでにほぼ終了した. 2.全ての植生調査地点から表層およびAD.1694年に降下した駒ヶ岳C2火山灰直下の花粉分析用試料をヒラ-型ハンドボーラーで採取した。これは、周辺の低木群落の花粉組成に対する影響が、距離とともにどのように減じていくかを確かめると同時に、湿原内部の群落の花粉組成を明らかにし、さらに,その組成が約3百年間でどのように変遷したかを,同一地点で比較するためである。 3.2本のライン沿いの表層試料の花粉分析を終了し、周辺の低木群落や、湿原内部の植生(頻度および相対被度)と花粉組成との関係を検討した。 4.昨年度および今年度の表層花粉分析の結果,カエデ属,モチノキ属,ミズバショウ属等の花粉が,湿原と低木群落との境界を精度よく示すことが明らかとなった. 5.矢櫃萢湿原については,火山灰直下の花粉分析を終了した. 6.これまでに得られた植生および花粉分析の結果は,データベースとして保存した。
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