研究概要 |
青森県八甲田山地先櫃萢湿原,前谷地湿原.、北海道上川浮島湿原において,環境庁および上川営林署の採取許可を得て,調査および試料の採取を行った. 1.植生と微地形との関係を調べるため,湿原中央で直交する2本のラインを周辺の低木群落から湿原全体にかかるように設け、ライン沿いに比高の測量を行い,2方向の地形断面図を作成した.また,ライン上の多数地点で,表層花粉組成と比較するための相対被度による植生調査を行った。現地での植生調査の際に不明であった種の同定作業も,これまでにほぼ終了した. 2.全ての植生調査地点から表層および最新火山灰直下の花粉分析用試料をヒラ-型ハンドボーラーで採取した。これは、周辺の低木群落の花粉組成に対する影響が、距離とともにどのように減じていくかを確かめると同時に、湿原内部の群落の花粉組成を明らかにし、さらに,その組成が千百年あるいは約3百年間でどのように変遷したかを同一地点で比較するためである。 3.2本のライン沿いの表層試料の花粉分析を終了し、周辺の低木群落や、湿原内部の植生(頻度および相対被度)と花粉組成との関係を検討した。 4.予備調査の黄瀬谷地湿原と下毛無湿原を含めた表層花粉分析の結果,カエデ属,モチノキ属,ミズバショウ属等の花粉が,湿原と低木群落との境界を精度よく示すこと,および,草本花粉の多くが数m以内の植生を示しうることが明らかとなった. 5.矢櫃萢湿原については,火山灰直下の花粉分析を終了した. 6.これまでに得られた植生および花粉分析の結果は、データベースとして保存した。
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