申請者は低親和性IgEレセプター、CD23、が実際にガラクトースと結合するレクチン活性を持つこと(1)、また、CD23を多く発現している細胞をシアリダーゼ処理すると大きな凝集塊ができる事(2)を明らかにしてきた。そこで、細胞からのシアル酸の除去がB-BまたはT-B細胞の相互作用に大切であろうと考え、本研究では免疫組織中細胞自体が持っている中性で働くシアリダーゼについて調べた。その結果以下の事が明らかになった。 1)膜結合性の中性で働くシアリダーゼは胸腺で高く、週令に依存して活性が低下した。 2)リンパ節、ひ臓ではこの活性は非常に低かった。 3)胸腺のT細胞をピ-ナツアグルチニンで成熟、未成熟T細胞に分画しても、いずれにも活性は認められなかった。 4)胸腺から主にT細胞を除去した残査をNP-40で可溶化すると、そこに高い活性が存在した。 5)この活性は至適pHが6.5にあり、1mMCu++で完全に阻害された。 6)胸腺の薄切片を組織化学的に活性染色すると髄質部にまばらに存在する細胞が染色された。 7)その細胞は上皮性でなく、白血球インテグリンファミリーのMac-1とイムノグロブリンを細胞表面に持っており、B系の細胞であろうと思われる。 8)このような細胞は未報告であり、今回初めて報告されるものである。
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