研究概要 |
1.ニコチン性アセチルコリンリセプターのポア部分に相当する人工膜蛋白質(テンプレートに固定された4-ヘリックスバンドル蛋白質(分子量11,599)や5-ヘリックスバンドル蛋白質(分子量14,433))を、chemoselective ligation法で高純度で合成することにすでに成功している(1)。今年度はこの収率を上げるために、新しい方法を開発した(2)。反応中のM2セグメントのペプチドの溶解度を上げるために、M2セグメントに親水性の高いペプチドを結合した。第一段階では、C末端にチオカルボン酸とN末端にアミノオキシアセチル基を持つ24個のアミノ酸からなるM2ペプチドと、N末端にブロモアセチル基を持つ水溶性の高いペプチド(WSP)を独立に合成しかつ精製した後に、両者を反応させてチオエステルで結合したM2-WSPを得た。次に5個のアルデヒドの反応基を持つテンプレートを合成かつ精製して、それとM2-WSPを反応させ、M2-WSPの5-ヘリックスバンドル蛋白質を純度よく高い収率で得ることができた。ESI法質量分析法による測定の結果、設計蛋白質と同定された。 2.ボツリヌス毒素蛋白質Aのイオンチャネル活性のメカニズムを調べるために、ポア構造を形成する膜貫通部分の一次構造を予測し、その23個のアミノ酸からなるペプチドを合成した。それを平面膜に再構成し、そのイオンチャネル活性をパッチクランプ法により調べた結果、カチオン選択性のチャネル活性を持つことが明らかになった。分子動力学シミュレーションによるコンフォメーションのエネルギー計算により、4-ヘリックスバンドル構造を形成してポアを形成する可能性が高いことを示した(3)。 (1)Yamazaki,M.et al.,Protein Sci.,3-S1,113,1994(2)Yamazaki,M.et al.,Biophys,Jpn.,35-s,73,1995(3)Montal,M.O.et al.,Protein Sci.,4,1490-1497,1995
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