研究概要 |
イオンチャネル蛋白質やイオンポンプの構造と機能の相関の解明のために、単純なポア部分のみの構造と機能の相関の研究をおこなうことは重要である。 まず、イオンチャネル蛋白質のイオン透過性やイオン選択性における静電相互作用の役割を調べるために、グリシンレセプターのポアを形成する部分の一部のアミノ酸をヒスチジンに変えたペプチドを合成し、そのペプチドが自己会合して形成するイオンチャネル活性のpH依存性を調べた。pH5.0での単一チャネルコンダクタンスは、pH7.5のそれよりも大きいことが単一チャネル記録法の結果からわかったが、そのメカニズムの解明のためには系統的な実験が今後必要である(1)。 次に、筋小胞体カルシウムATPaseのイオン透過部分のメカニズムを調べるために、M6などの膜貫通セグメントのアミノ酸配列を持つペプチドを合成し、その構造や機能を調べた。平面2分子膜中に再構成されたM6のアミノ酸配列のペプチドは、1.0M CaCl_2の溶液中では単一チャネルコンダクタンスが46pSと22pSのイオンチャネル活性を示し、イオン透過に関与していることが示唆された(2)。 膜蛋白質の膜貫通領域の構造安定性や膜蛋白質全体のフォールデイングの研究の目的のために、膜1回貫通型蛋白質の膜貫通性セグメントとして、インフルエンザAウイルスのM2蛋白質の膜貫通部分のフォールデイングやアンフォールデイングについて調べた(3)。 グラミシジンAチャネルのプロトン透過性のメカニズムを調べるために、種々のカチオンの共存下におけるプロトン透過性を測定し、解析した(4)。 (1) Koyama,Tamba,Yamazaki,Biophys.Jpn.37-S,49,1997 (2) Tanaka,Tamba,Yamazaki,Biophys.Jpn.37-S,198,1997 (3) Kamiya,Tanaka,Yamazaki,Biophys.Jpn.37-S,125,1997 (4) Tanaka,Tamba,Yamazaki,Biophys.Jpn.37-S,47,1997
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