研究課題/領域番号 |
07808075
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
植田 淳子 大阪大学, 基礎工学部, 教務職員 (90252634)
|
研究分担者 |
葛西 道生 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (40022595)
|
キーワード | 長期増強 / 大脳神経 / 解離培養系 / Differential Display法 / Subtraction法 / RLCS法 |
研究概要 |
我々が確立したニワトリ胚大脳神経解離培養系では、Mg^<2+>除去操作により、長期増強(LTP)と同様な現象がおこることをすでに見いだしており、本研究は、Differential Display法(DD法)によって、Mg^<2+>除去操作の前後で発現量の変化した遺伝子を単離することを目的としている。 DD法は、1992年に最初に報告され、その後様々な改良が加えられたにもかかわらず、偽陽性率が高いことや発現量の少ないmRNAが検出されにくいなどの問題点が解決されていない。我々も、primerの鎖長や基質濃度、PCR反応の再現性の確認方法等独自に種々の条件検討を加え、可能な限り発現量が本当に変動したものだけが選択できるようなDD法を確立した。その結果、いくつかの候補遺伝子を取得することができたが、これらの遺伝子がLTPに本当に関与しているのか、またそれはどのような機構で働いているのかと言った知見を得るには到っていない。 そこで、今年度は、まず、より均質なRNAが取得できるように、培養方法の検討を行い、さらに、先に延べたDD法の欠点を補うために、Restriction landmark cDNA scanning法(RLCS法)とPCR-select subtraction法(PSS法)の導入を試みた。RLCS法は、放射ラベルされた制限酵素断片を2次元マッピングにより直接的に比較するもので、PCRによる増幅を行わないため、疑陽性シグナルがほとんど生じない。また、PSS法は、cDNAを均一化しつつ差引きするため、発現量の少ない遺伝子でも十分検出できると言う特徴を持つ。 PSS法により取得できたcDNAのうち、Northern blot法により発現量の変動が実際に確認できたものの割合は、DD法よりもはるかに高く、PSS法の有効性を確認できた。 RLCS法では、実験系の確立に時間を要し、まだ、候補遺伝子の取得には到っていないが、PCRによる非特異的増幅の可能性がまったくなく、その結果には大いに期待される。
|