1.発現ライブラリーの作製 1)発現用ベクター 遺伝研の石原健博士より神経系特異発現を示すプロモーターを含むプラスミドH20を、また、九州大学の大島靖美教授・古賀誠博士より神経細胞を含む多くの組織で発現を示すプロモーターを含むプラスミドpPDEFαを、戴いた。これらのプラスミドにEcoRI-NotIサイトを導入し発現用ベクターを構築した。 2)cDNA合成 各発生段階を含むC.elegans集団からpolyA+RNAを抽出した。これを鋳型としてNotIサイトと含むoligo-dTプライマーにより5-methyl-dCTP存在下でcDNA合成を行い、EcoRIアダプターを結合後、NotIにより切断し、上記の発現用ベクターのEcoRI-NotIサイトに挿入しライブラリーを作製した。ライブラリーは各々約30万の独立のクローンを含んでいた。 2.スクリーニング pPDEFαをベクターとするライブラリーを線虫に導入し形質転換体の表現型を指標として検索した。約5000クローンを検索したところ、体型の異常を示す形質転換体が出現した。これらの中には体側の神経細胞の位置が異常なものもあった。今後、表現型を示したプラスミドプールから、該当するクローンをシブセレクションによって同定を試みる予定である。しかし、同様の表現型はpPDEFαを単独で多量に導入した場合にも見られることがあるので、導入条件を再調節する必要があるかもしれない。また、現在、H20をベクターとするライブラリーを同様の方法で検索中である。
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