研究課題/領域番号 |
07808085
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野村 みどり 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60263315)
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研究分担者 |
友常 大八郎 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (80283802)
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キーワード | F9細胞 / 膜タンパク質 / 糖タンパク質 / MHC class I / GPIアンカー / 遺伝子ファミリー / レチノイン酸 / 初期胚 |
研究概要 |
胚性腫瘍細胞株、F9細胞でレチノイン酸により発現誘導されるcDNAクローンの一つとして単離したRae-1は構造解析の結果、糖鎖のついた膜タンパク質をコードしていると考えられた。またRae-1cDNAは少なくとも3種類(α、β、γ)からなる、遺伝子ファミリーを形成していた。タンパク質のデータベースの検索からはRAE-1タンパク質はMHC classIと低い相同性を有することがわかった。 糖鎖の結合を阻害するツニカマイシン処理により分子量の減少を示すこと、及びGPIを遊離するPI-PLC処理を行なうことによって膜から遊離させることを示し、RAE-1タンパク質がGP1アンカーを利用して膜へ結合する糖タンパク質であることを明らかにした。 Northern blot法及びwhole-mount in situ hybridization法でrae-1遺伝子の発現を検討したところ、初期胚、特に10日胚の頭部に高い発現を認めたが、成熟マウスの各種組織や、後期胚では発現は検出されなかった。またRT-PCRとその産物の塩基配列決定により、3種のrae-1遺伝子の発現を調べたところ、rae-1α、β、γの3種の遺伝子はそれぞれに異なった発現パターンを示したため、制御機構の異なることが推定された。 そこで3種の遺伝子構造の解析を行なったところ、rae-1α、β、γの3種の異なった遺伝子が存在することを確認した。さらにrae-1遺伝子ファミリーの単離と構造解析も行なうとともに、FISH法でrae-1遺伝子ファミリーが第10染色体A4領域にマップされることを明らかにした。また、Zoo Blot解析を行なったところ、脊髄動物間におけるrae-1遺伝子ファミリーの保存性は低く、ラットでさえ核酸レベルで保存性は低かった。 このように、RAE-1はMHC class I 分子と弱い相同性を示すGP1アンカー型膜タンパク質であり、初期胚特異的に発現が見られるため、初期分化での細胞間相互作用との関連が示唆され興味深いものであった。
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