研究概要 |
(1)マウスグルタミン酸脱炭酸酵素(mGAD-1, mGAD-2)遺伝子を単離し、構造を解析した。mCAD-1遺伝子は全長約45kbで翻訳領域は17個のエクソンから構成されていた。また、2個の5非翻訳領域のエクソン(OA及びOB)が存在していた。mGAD-2は50kb以上の遺伝子であり、エクソン1から7までのエクソンイントロン接合部位の塩基配列を決定し、その領域内の制限酵素地図を作成した。mGAD-2遺伝子については、相同組み換えに用いるターゲッテイングコンストラクトを作成し、マウスES細胞に導入することにより、相同組み換えが行った細胞をスクリーニングをしている。今後、組み換えがおこった細胞を用いてノックアウトマウスを作成し、神経回路網におけるGAD遺伝子あるいはGABA作働性線維の役割を明らかにする。 (2)GAD遺伝子の発現調節機構を解明するため、mGAD-1プロモーター領域の改造を解析した。エクソンOA及びOBのそれぞれに対応するプロモータ領域には、Sp1やKrox-24などの結合配列に加えて神経系の転写制御に関与するNRSE及びCCAGGAGA配列の存在を明らかにした。さらに、これらのプロモーターを含む上流域(約10.2kb)をIacZレポーター遺伝子に融合したコンストラクトを導入したトランスジェニックマウスを作成し、プロモーター機能について検討した。2系統の独立したトランスジェニックマウスについて解析した結果、mGAD67遺伝子の発現量の多い領域(大脳皮質や線条体など)の神経細胞に特異的にIacZ遺伝子の発現が認められ、上記プロモーターが、mGAD67遺伝子の発現に必要不可欠であることを示唆する所見を得た。また、mGAD-2ピロモーターをIacZ遺伝子に融合したコンストラクトを導入したトランスジェニックマウスを4系統得た。今後、同様にmGAD-2プロモーター機能を明らかにする。
|