研究概要 |
1,リンパ腺癌に対するハイブリッド型リポソームの抗腫瘍効果 リン脂質としてジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC),中性ミセル界面活性剤として鎖長の異なるポリオキシエチレンアルキルエーテル(Cm(EO)n,m=10〜14,n=4〜23)から構成されるハイブリッド型リポソームを調整し,ヒトリンパ腫-ヒトBリンパ球ハイブリドーマに対する抗腫瘍効果をin vitroで検討したところ,(1)全てのハイブリッド型リポソームでDMPCのみから調整したリポソームおよびミセルにのみに比べ抗腫瘍効果が向上した。とくに,(2)C_<12>EOn(n=8,12)およびC_<14>EOn(n=6,7,8)から成るハイブリッド型リポソームは90%以上と顕著な増殖抑制効果を示し,ミセル分子設計の重要性が示唆された。動的光散乱法によるサイズ測定および電子顕微鏡写真から,均一で安定な膜が得られており,臨床応用に有利であることが示唆された。蛍光顕微鏡観察からはハイブリッド型リポソームの腫瘍細胞への融合が明確となった。 2,抗癌剤含有ハイブリッド型リポソームの抗腫瘍効果 脂溶性ニトロソウレア系抗癌剤(BCNU)含有ハイブリッド型リポソームの脳腫瘍細胞に対する顕著な抗腫瘍効果が得られた。半減期はリン脂質のみから成るリポソームに比べ2倍向上しており,ハイブリッド型リポソームをドラッグキャリアーとして用いる有用性が示唆された。 3,in vivoでの急性毒性試験 正常ラットを用い、ハイブリッド型リポソームを投与後の体重の経時変化および解剖後の臓器の剖検所見を観察したところ、コントロールと差がなく,副作用のないことが明らかとなった。
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