ヒスイ製玉類の分布圏:新たに研究した玉類は千歳市美々4遺跡出土の玉類で糸魚川産原石使用が83個で、日高産軟玉製が2個使用されていることが明らかになり、乙部町小茂内遺跡のヒスイ製勾玉2個、苫小牧市柏原5遺跡出土の勾玉と垂飾の2個が糸魚川産原石と新たに推定された。また、新潟県朝日村元屋敷遺跡出土の棗様玉および小玉の2個、神戸市玉津田中遺跡出土の丸玉が糸魚川産と特定されたが、勾玉については糸魚川産の可能性が非常に高いと推測され、大分県安心院町飯田二反田遺跡出土の丸玉1個および、国東町羽田遺跡出土の石斧の破壊片1個でそれぞれに糸魚川産ヒスイが使用され、石斧に硬玉使用を明らかにしたのは本研究が最初である。 碧玉製碧玉製玉類の分布圏:北海道余市町入舟遺跡の遺溝外出土の管玉に、七飯町大中山13遺跡の管玉1個にも佐渡、猿八産原石が使用され、神戸市玉津田中遺跡出土の原石片、管玉各1個に女代(B)群の使用が確認され、管玉1個には玉谷産原石が、また、鳥取県羽合町長瀬高浜遺跡出土の6個の管玉の中で5個に女代(B)群の原石がそれぞれ使用されていることが明らかになった。坂出市龍川五条遺跡出土の管玉2個には今治市持田町3丁目遺跡出土の管玉と同じ原石が使用され、この原石の産地は特定できていないが、未定C群と仮称し分布圏を調べた結果、佐賀県吉野ヶ里遺跡で、宇木汲田遺跡では女代(B)群と共に多用されていることが判明した。 原石群の確立と産地分析結果:新たに調査したサヌカイト様原石産地は、善通寺市の大麻山南から出土するガラス質安山岩で細石器時代に使用された可能性が推測されていたが、予想に反して今年度の研究で使用されていないことが判明した。
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