研究課題/領域番号 |
07831016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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応募区分 | 時限 |
研究機関 | (財)元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
植田 直見 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (10193806)
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研究分担者 |
大国 万希子 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (40250352)
井上 美知子 (財)元興寺文化財研究所, 保存科学センター, 研究員 (70223279)
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キーワード | 出土材 / 吸着量 / 陽イオン界面活性剤 / 木材分析 / セルロース / リグニン / 相関関係 |
研究概要 |
前年はセルロース・リグニンそれぞれに吸着する薬剤を見つけ、温度・濃度を変化させ吸着量を測定した。その結果をもとに、今年度は、劣化状態の異なる出土材(3×3×1cm)およびその木粉を用いて、水溶液およびエタノール溶液中での吸着量を測定した。吸着を示した薬剤(陽イオン界面活性剤・非イオン界面活性剤・PEG・有機酸)全てを用い、温度(20℃・50℃・80℃)および薬剤濃度(0.1%・1%・5%)を変化させた。 その結果、水溶液・エタノール溶液中で同一樹種および同一劣化状態の出土材ならブロックであっても木粉であってもどれも吸着量は濃度によっては変化せず温度が上昇するほど減少することがわかった。また、同一樹種の場合、含水率が高くなれば水溶液中での陽イオン界面活性剤・非イオン界面活性剤は吸着量が増加した。アルコール中でも陽イオン界面活性剤は含水率の増加と共に吸着量も増加したが、PEG・有機酸は含水率による変化があまり見られなかった。 次に、前年に木材分析より求めた上記の実験に使用したのと同様の出土材のセルロース・リグニン量をこれらの結果と併せてその関係を検討した。その結果、リグニンについては、その量と陽イオン界面活性剤の吸着量が比例関係に近い相関を示すことがわかった。しかし、セルロースの増減と薬剤の吸着量についてははっきりとした相関を見いだすことが出来なかった。セルロースの結晶部・非結晶部の比率、またヘミセルロースとの関係など複雑な要因が存在し、現時点では単純に相関関係を導き出すことは出来なかった。
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