1.90万タンパク質抗体の作製 ウシ大動脈のSDS全抽出物を電気泳動し、90万のバンドを切り出して抗体を作成したが、抗体価の高いものが得られなかった。そこで、ニワトリ砂のう平滑筋の90万バンドを切り出してポリクローナル抗体を作成した。この抗体はニワトリ砂のうおよびニワトリ大動脈の90万タンパク質に反応したので、精製の際の指標とすることができた。しかし、ウシ大動脈には反応しなかった。現在、ニトロセルロース膜による抗体の精製をおこない、平滑筋細胞内の局在を観察している最中である。 2.90万タンパク質の精製 ウシ大動脈を用い90万タンパク質の精製をおこなった。0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.0)で抽出され、DEAE Toyopearlカラムで30〜100mMの濃度勾配溶出により部分精製し、純度はおよそ60%になった。ただしSDS-PAGEでは近接した2本のバンド(900Kと860K)が認められた。90万タンパク質はSDS全抽出物900Kのバンドと同じ位置を示したが、反応する抗体がないため90万タンパク質である証拠が得られなかった。この結果をもとに、抗体が反応するニワトリ砂のう平滑筋を材料として90万タンパク質を精製し純度80%のものを得た。SDS-PAGEではウシ大動脈の時と同様に2本のバンド(900Kと860K)が認められ、両方のバンドともウエスタンブロットで抗体と反応した。ロータリーシャドウイング法により分子の形態を電子顕微鏡下で観察したところ、350nm程の細長い分子が観察された。
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