研究概要 |
系統発生学上、その祖先型から棘皮動物が進化するる至った道すじを調べるには、棘皮動物に固有の特性について、その発現に関与する遺伝子の探索と、発現様式の解明が不可欠である。棘皮動物に特有の形質である骨片形成タンパク質の発現を制御して、5放射相称型の骨格を形成する機構を、6網からなる棘皮動物中で最も原始的形質を保存するウミユリ類を用いて明らかにするために、ウニ類の骨片形成基質タンパク質をコードする遺伝子SM-50をプローブ、および、プライマーとして、有柄ウミユリ類トリノアシ(Metacrinus rotundus)におけるSM-50の相同遺伝子の探索を行なった。その結果,ウニ類SM-50のエクソンに特有の繰り返し配列は、トリノアシゲノム中に良く保存されていることが発見されたが、さらに探索を進めたところ、それとは異なった、もう1つの繰り返し配列がトリノアシに存在していることが新らたに発見された。この繰り返し配列の発現、ウニ類SM-50と共通の繰り返し配列との関連、既知の遺伝子との相同性の解析を、現在進めている。5放射相称型の形成に関連する遺伝子については、ホメオボックス遺伝子を中心として探索を進めている。ウミユリ類のうち、より近代的で中生代に出現し、成体では茎を持たないグループであるウミシダ類におけるSM-50遺伝子の発現パターンの解析の為に、これまでに発生過程の報告されていないウミシダ類の1種オオウミシダ(Tropiometraafra macrodiscs)の人工受精を試み、産卵期を特定して発生過程の記録に成功した。この種を用いて、発生過程におけるSM-50遺伝子の発現パターンの解析を計画中である。
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