研究概要 |
平成8年の春のバフンウニの生殖期に,バフンウニ16細胞期胚の大,中,小割球をエルトリエータによって分離し,実験によって海水中で1-2時間培養したのち,それぞれの割球あるいはその系譜細胞からRNAを抽出した。ウニ胚の形成中心である小割球とその系譜細胞において特異的に発現する遺伝子を明らかにするため,それらのRNAを鋳型としてdifferential display法とsubtraction PCR法によって,割球間で発現に差がある遺伝子を検索した。 Differential display法によって約3000の遺伝子断片をスクリーニングした結果,発現に差があるように見える断片を約120個検出し,それらを単離した。つぎに,それらの遺伝子断片に対して,各割球から抽出したpoly(A^+)RNAを鋳型として逆転写したcDNAをプローブとして,サザン解析を行なった。その結果,小割球あるいはその系譜細胞に特異的に発現すると思われる11クローンを得た。現在,これらの遺伝子の発現の局在性を確認するため,ウニ16-64細胞期胚における発現をin situ ハイブリダイゼーション法によって解析している。 一方,subtraction PCR法によって,小割球とその系譜細胞に特異的に発現する遺伝子,及び中割球系譜細胞においてLiイオンによって活性化される遺伝子を検索した。アガロースゲル電気泳動法によって解析した結果,それぞれに対して複数の特異的と思われる遺伝子断片の増幅が検出された。現在,これらの遺伝子断片を単離し,ドットブロット法によって発現の局在性を確認している。
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