本研究により嚥下障害のうちで本人が自覚せず誤って気管に嚥下してしまう不顕性誤嚥には三つの因子があることが判明した。 第一は脳血管障害のうちでも基底核の脳梗塞において不顕性誤嚥が多くなり、嚥下反射も低下し、肺炎の罹患率も高くなることである。このため、脳梗塞予防薬として脳循環改善薬や抗血小板薬が有効である。 第二にドーパミンの合成能が低下して不顕性誤嚥が生じることである。ドーパミンの補充療法により嚥下反射は改善することを証明した。 第三に気管と咽頭中のサブスタンスPの不足により嚥下反射は低下する。カプサイシンの投与により嚥下反射の改善をみた。以上より、不顕性誤嚥予防の手がかりが見出されてきた。
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