研究概要 |
本研究の今年の課題は舌の形態と運動機能を計測する手段の確立にあった.そこで,我々は,超音波断層法による舌計測法とCCDカメラとを併用した舌の形状変化を動的に観測できるシステムを開発した. 超音波による舌運動計測は超音波プローベを正中矢状面内の下顎底皮膚に当てて,舌面に向け超音波パルスを発射し,舌と口腔内の空気層との音響インピーダンスの違いによって生ずる反射波を同一パルスで受信,このパルス発射から受信までの遅延時間によって反射面までの距離を計測するとともに,パルス発射方向を正中面上で線状にスキャンすることにより舌面形状を得るものである.超音波断層装置はセクタ電子走査超音波診断装置(RT-3000,横河メディカル)を使用し,超音波プローベには,周波数3.5MHz,素子数64,有効視野角90°のセクタープローベ(U-type,横河メディカル)を用いた.超音波断層装置と顔面プロフィールを撮像するCCDカメラからの映像信号はAVミキサ-によってスーパーインポーズし,同時刻のCCDからの画像と超音波画像を1画面化し,ビデオレコーダに録画した.レコーダを再生し,その画像信号をビデオボードを介して,最高30フレーム/秒でデジタイズ後,コンピュータに転送し,画像処理を行い,口蓋形態などの生態座標系に対する舌形状や下顎位を測定するものである. 本法を利用して舌形状や下顎位を動的に観測できるシステムがほぼ完成し,次年度には,本研究課題名にあるように加齢による舌形状と運動機能の変化および咀嚼との関連性について検討する予定である
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