研究概要 |
舌は咀嚼、嚥下システムにおける主器官であり、下顎と協力しながら食塊を形成、食塊を咽頭から食道に送る投目を司る。また、義歯を装着した場合には、その維持安定に深く関わっている。このような舌の重要な機能について臨床的に示した論文をQuintessence Internationalに報告した。さらに、昨年に引き続き、非侵襲的に舌の形状を測定するために超音波断層法とCCDカメラを用いて動的に計測できるシステムの開発と改良を行った。超音波システムは3.5MHz,有効視野角90°のセクタープローベとその計測器からなる。頭部とプローベの矢状面内の動揺を測定するために標点をつけその動きをCCDカメラによって測定した。口蓋形態と舌形状の対応は口蓋治具を用いて行った。超音波法からのシグナルとCCDカメラからのシグナルを重ね合わせて、口蓋形態に対する舌形状を計測した。本方法を用いて下顎安静時と咬合高径挙上時の舌形状について検討したところ、安静時には舌は口蓋前面の形状に類似した形態をとっているのが観察された。咬合挙上によって舌は下後方に位置するとともに、その形状の曲率が小さくなる傾向にあった。このように、計測法は舌運動と形態計測に非常に有効であることがわかった。本項目については日本補綴歯科学会雑誌に報告した。当初の本研究費の研究期間で行う予定であった加齢による舌運動機能と形態の変化については本測定装置を用いて今後行っていきたい。
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