研究概要 |
本年度はスンクス胚の全胚培養法の向上およびレチノイン酸・フェリチリシンを培地に添加し、その影響を調べた。また、スンクス12日胚よりcDNAライブラリーを作製してHoxB・twistのクローニングを試みた。 1)全胚培養および咽頭領域形成異常胚 スンクス体節形成期胚の全胚培養をスンクス血清・ラット血清およびその混合で比較したが特にスンクス血清で優れた結果を得ることはなかったので、入手が容易なラット血清で十分である。しかし、市販の血清の使用は避けるべきである。酸素濃度はマウス・ラットと異なり高酸素分圧(20%)から培養を開始し、比較的低い酸素分圧(60%)で発育した胚を培養した場合に良好な結果が得られた。良好な結果が得られる培養期間は1-10体節期胚から培養を始めて約48時間である。レチノイン酸処理による咽頭弓形成異常は4-5体節期胚に0.06μg/ml濃度で処理した場合に第1・2咽頭弓に癒合その他の異常が生じることがわかった。フェリチリシンによる処理では今のところ異常発生胚を確認していない。 2)スンクス胚cDNAライブラリー 2度にわたりcDNAライブラリーの作製を試みたがいずれも力価が低く期待したライブラリーにはならなかった。その中で、hoxb1,b2,b3,twistについてcDNAのスクリーニングを行った結果、twistについてはポジティブプラークを得ることができ、現在それの塩基配列決定を行うところである。また、cDNAライブラリーの作製を再度行うためにスンクス胚を収集している。
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