研究課題/領域番号 |
07838037
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
阿部 茂 帝京大学, 医学部, 助教授 (10125974)
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研究分担者 |
丹生 茂 帝京大学, 医学部, 助手 (50266300)
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キーワード | 中心静脈栄養 / 輸液 / 好中球 / Candida albicans / 咀嚼 / 唾液 / ラクトフェリン / リゾチーム |
研究概要 |
摂食不能宿主における免疫能として臨床的に重要な活性として、宿主好中球のCandida albicans発育阻止活性に注目して本研究を実施した。健常人の末梢血中の好中球は、in vitroでCandidaの発育を強く阻止する。それに対し、禁食状態で中心静脈栄養(IVH)を実施した患者の同活性は低下する場合があることは認められたが、患者の基礎疾患による差かもしれないが、強い抗Candida活性を示す場合もあり一定の結論は導き出せなかった。一方、IVHに用いる高カロリー輸液の作用を調べた結果、輸液中のグルコース(1〜2%)が、in vitroで好中球の抗Candida活性を、著しく低下させることを見いだした。更に、その低下は、アミノ酸混液(特にシステイン)の共存により防止しうることを明らかにした。これより、好中球の機能低下をひきおこさない高カロリー輸液の開発の可能性を提示した。咀嚼の効果をマウスモデルを用い検討するため、マウスを禁食状態にする試みをしたが、同条件では、ストレス反応が強く、グルココルチコイドの血中濃度の上昇が疑われた。高濃度コルチコステロンは、マウス好中球の抗Candida活性を低下させた。なお、その低下は、拮抗薬ミフェプリスタンで防止された。咀嚼によって生ずる生理的条件の変化は、大量の唾液の分泌と摂取であることを考慮し、唾液成分の好中球及びCandida発育に対する効果を調べた。唾液成分の中でラクトフェリンが好中球の抗Candida活性を増強する作用があること、またラクトフェリンやリゾチームは、アゾール系抗真菌薬と共同して強い抗Candida活性を示すことを見いだした。更に、免疫抑制状態のマウスに、ラクトフェリンを経口投与すると、そのマウスは、Candida感染に対し、抵抗性を示す傾向があった。これらは、咀嚼運動が唾液分泌を介して免疫能を回復させる可能性を示している。
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