研究概要 |
下顎骨の区域切除後、rhBMPによる骨誘導,これのdelivery systemとしてフィブリン糊とトレー型吸収性プレートの臨床応用が可能かを,ラット,犬を用いて検討してきた. 1.rhBMP担体の工夫:Wister系ラット(雄,8週齢)を用いて実験を行った.フィブリン糊はrhBMPと混和して注射筒内に填入しておくと,注入が容易であり,長期の保存も可能となる等,臨床的な応用が可能であると考えている.他方,異所性(ラット背部皮下組織)の骨形成が認められたのは埋入後10週であり,他の実験結果に比べてかなり遅い.その原因として,フィブリン糊と併用した(Tricalcium phosphate),あるいはrhBMPとフィブリン糊の混合比が考えられるため,これらを確認する実験を行っている. 2.吸収性プレートの機械的強度と経時的変化の確認,顎形態の賦与:吸収性プレートは顎再建に必要な初期強度を有し,かつ,加温により下顎の彎曲面に適合するような性状が必要である.犬(雄,成犬)の下顎(両側)に各1cmの区域切除を行い,AOプレートとポリ-L-乳酸poly(L-lactide)プレート(PLLAプレート)で固定した.厚さ1mmのPLLAプレートが形態の賦与が容易で,片持ち曲げ試験による比較の結果,下顎再建時の初期強度を有していると考えられた.PLLAの基礎的実験でプレートは3カ月間は初期強度を保つとされているが,犬の下顎にプレートを装着して経時的吸収の程度と強度の変化を検討している.また,切除前の下顎形態を再現するには,印象採得後石膏模型を作製し,加熱(約70℃),圧接することにより形態の賦与が可能であることを確認した.
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