大腸菌の可視光感受性のミュータント

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07839004
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 井口 八郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20028195)
• キーワード: 大腸菌 / 光感受性変異株 / hemE,G / visA遺伝子 / hemK / ribH / hemA / ポルフィリン合成

研究概要

1)大腸菌のhemEとhemGの遺伝子をクローン化、塩基配列の決定をおこなった。hemEはuroporphyrinogen III decarboxlase(UROD)の構造遺伝子(353コドンのORF)からなり、ヒトのURODのアミノ酸配列と全域にわたり高いホモロジー(45.4%)があることが分かった。一方、hemGはprotoporpyrinogen IX oxidaseの遺伝子とされているが、DNAの塩基配列からこの酵素のアミノ酸配列を明らかにした。hemA-G以外の変異株で、ヘム合成に関与していると考えられるものもを新たに2株分離した。そのうちの一つの変異株(H103)はhemA遺伝子の近くにマップされた。塩基配列を決定し、226アミノ酸からなるORFをhemKと命名した。もう一つの変異株(R714)もポルフィリン合成のいずれかのステップに関与する遺伝子に欠損があると考えられるが、この変異は小原らのラムダファージクローンの_<460と>461によって相補されることがわかった。2)visA(hemH)遺伝子を欠失した変異株は全くヘムを作れないが、グルコースを含む完全培地上でminute colonyを作る。この表現型に着目し、ヘミンを培地に加えて、プロトヘム以前のステップに欠損が生じたものは排除するようにした上で、visA欠失株と同様の表現型を示すミュータントの分離を試みた。35株の新しい変異株の分離に成功し、このうち、変異株_<2-20と>10について遺伝子解析を進めた。その結果、♯2-20はリボフラビン合成に関与する遺伝子のribHにホモロジーがあり、また♯-10はB. subtilisのgerC遺伝子とホモロジーがあった。得た変異株の多くはエネルギー代謝と何等かの関わりをもつ遺伝子由来であることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] S. Taketani et al.: "Induction of terminal enzymes for biosynthesis during differentiation of mouse erychroleukemia cells." Eur. J. Biochem.230. 760-765 (1995)
• [文献書誌] S. Taketani et al.: "The human protoporhysinogen oxidase gene (ppo): Organization and location to chromosome 1." Genomics. 29. 698-703 (1995)
• [文献書誌] T. Nakayashiki et al.: "A portial inhibition of protein synthesis accelerates porphrin synihesis in heme-deficient mutants of E. coli." Molec. Gen. Genet.249. 139-146 (1995)
• [文献書誌] T. Nakayashiki et al.: "Cloning and Sequencing of a previouly unidentified gene that is in uolued in the biosynthesis of heme in E. coli." Gene. 153. 67-70 (1995)
• [文献書誌] K. Nishimura et al.: "Cloning and identification of the hem G gene that encodles protoporphyrinogen of E. coli. K12" DNA Res.2. 1-8 (1995)
• [文献書誌] H. Yang, H. Inokuchi and J. Adler: "Photo taxis away from blue light by a E. coli mutant accumulating protoporhyrin IX." Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 92. 7332-7336 (1995)