平成7年度は突然変異検出するためにプラスミドpMY189を用いるDNA修復と複製の無細胞系を新たに確立した。pMY189は突然変異の標的遺伝子としてSupFおよびSV40複製点とT遺伝子を持ち、ヒト細胞と大腸菌で複製でき、自動シーケンサーで塩基配列が容易に決定できる。無細胞DNA修復系では、正常ヒト細胞の抽出物によって紫外線照射したpMY189に特異的に[^<32>P]-dATPの取込みが見られ、DNA修復を機構を欠損するA群色素性乾皮症細胞の抽出物ではその取込みが見られなかった。このことによってin vitroでDNA修復が行われていることが確認できた。無細胞複製系ではSV40T抗原と正常ヒト細胞抽出物を用いて、pMY189にDNA複製による[^<32>P]-dATPの取込みが見られたが、実験各回毎に複製の度合のばらつきが大きく、その原因を現在調べている。無細胞突然変異は次のように行う予定である。pMY189に紫外線照射し、ヒト細胞抽出物で修復または複製後lacZ遺伝子にアンバー変異を持つ大腸菌を形質転換し、X-galとIPTGを含む培地でSupF遺伝子の変異を検出する。塩基配列を決定して突然変異を同定する。まずその系で紫外線によって生じる突然変異が、細胞内で起こる変異と同じ種類の変異であることを確認する。ついで細胞抽出物を分画して突然変異頻度の増減に関わる蛋白を同定を目指したい。
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