研究課題/領域番号 |
07839012
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
後藤 司 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (60136851)
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研究分担者 |
木島 博正 名古屋大学, 理学部, 教授 (30012397)
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キーワード | 軟体動物イソアワモチ / 光受容性の神経細胞 / 光受容器細胞 / 未分化の視細胞 / 光感受性のK^+チャネル / cGMP感受性のK^+チャネル / 4-aminopyridine / l-cis-diltiazem |
研究概要 |
脊椎動物視細胞に共通する光受容変換機構は相当に解明されているが、無脊椎動物視細胞のそれは未だ不明である。軟体動物イソアワモチ中枢神経節には光に直接応答する神経細胞、即ち視細胞としては未分化の光受容器細胞がある。これまで、この細胞の光受容器電流は暗中に開いているKチャネルが光照射で閉じるために発生し、このKチャネルは、同じく光によって閉じる脊椎動物視細胞の非選択性陽イオンチャネルのように、二次・メッセンジャー、cGMPと直接結合することによって活性化されることを明らかにしている。 当該Kチャネルが閉じて生じる光受容器電流は外液に加えた100〜200μMの4-aminopyridine(4-AP)によって完全に抑制され、洗うと速やかに回復した。しかし、I_K、I_Cに効果的なTEAを50mM、又はI_Cに特異的なcharybdotoxinを500nM与えてもこの電流は何ら変化しなかった。一方、外液に投与したl-cis-diltiazem(1-DIL、脊椎動物視細胞のチャネル・ブロッカー)も光受容器電流を可逆的に遮断することが明らかになった。 Cell-attached型記録による単一チャネル解析から、外液の4-APは当該Kチャネルの単一電流及び閉時間を変えることなく、開確率及び開時間を減少させることがわかった。同様な解析は1-DILもまた、4-APと同様に当該Kチャネルの開状態に作用してブロックすることが暗示された。 以上の結果は、無脊椎動物視細胞の光感受性のチャネルの有力な二次・メッセンジャー候補としてあげられているCaイオンの可能性を否定するばかりでなく、脊椎動物と同様に無脊椎動物視細胞にもcGMPが共通して二次・メッセンジャーとして働いている可能性を示唆するものである。
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