ロドプシン、G蛋白、PLCの相互作用を解明し、ロドプシン-Gq-PLCカスケードの存在を証明することを目的に以下の研究を行った。 1、免疫沈降法によるロドプシン、G蛋白、PLCの相互作用の解析- 抗ロドプシン抗体、抗Gqα-C末抗体、抗PLC抗体をアガローストに架橋し、海面活性剤で可溶化したラブドーム膜を免疫沈降し、共沈蛋白をウエスタンブロッテイングで調べた。Gqα蛋白は光照射した膜試料でのみロドプシンと共沈し、GTPγS存在下では著しく減少した。この結果は、Gqαがメタロドプシンと複合体を形成し、GTP結合によりこの複合体が解難することを示している。ロドプシンとGβγ、PLCとGqαの共沈は確認できなかった。これらの間の結合は弱く、通常の免疫沈降法では観察が難しいと考えられるので、現在、チオール開裂型架橋剤を用いた免疫沈降を進めている。 2、ロドプシン、G蛋白、PLCの単離精製と再構成- PIP2加水分解活性を指標にPLCを分離し、130K蛋白として精製された。GqαとGβγは抗体反応を指標に、Gqαについては膜結合Gqαと可溶性Gqαを別々に分離した。GTPγS存在下で光照射したラブドーム膜から分離した膜Gqαは精製PLCを濃度依存的に活性化したが、可溶性GqαとGβγはPLC活性化効果を示さなかった。[^<35>S]-GTPγSの結合は膜分画のみに確められ、可溶性Gqαが含まれる分画には認められなかった。これらの結果は、可溶性GqαでのGDP-GTP交換反応が進まない(あるいは非常に遅い)ためにPLC活性化能を持たない、ということを示している。精製ロドプシンとG蛋白の再構成実験は現在進行中である。 今年度の研究結果により、ロドプシンによる膜Gqαの活性化、膜GqαによるPLCの活性化がほぼ証明されたと言える。
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