研究概要 |
本研究では、半導体レーザー(以下、LDと省略)励起Yb:YAGレーザーの基本的特性を明らかにし、このレーザーモデルを確立させると共に、定在波型及びリング型レーザー共振器を構成し、高効率、高安定な単一縦モード発振のための条件を明確にすることを目的として実施された。その結果、以下のような知見を得た。 1.LD励起Yb:YAGレーザーの基礎実験とモデルの確立 準三準位レーザーであるYb:YAGはレーザー励起により空間的、スペクトル的に強励起を行う必要がある。しかし、LDは他のレーザーに比べ空間的に小さく絞ることが難しい。ここでは、M^2パラメータを用いてLD光のモデル化を行い、固体レーザーを設計する手法を提案した。これにより、従来経験的手法で行なわれていたLD励起固体レーザー設計の定式化が可能となった。さらに、直径330μmのファイバーレンズと直径2mmのシリンドリカルレンズを用いた励起光学系を試作し、高密度励起を実現する光学系の検討を行った。これにより、従来用いられていたアナモルフィックプリズムペアによる光学系に比較し急峻な集光が小型で低損失の構成で実現できた。(レーザー研究,1996.3印刷中) 2.単一縦モード発振の検討 低閾値、高効率、高安定の単一モード発振Yb:YAGレーザーの実現を目指してLD励起リング型Yb:YAGレーザーの設計を行う。まず、定在波型の複合共振器を試作し、単一縦モード発振実験を行った。(電子情報通信学会論文誌,C-1,1996.4印刷中)さらに、共振器間隔を制御することで、1030nm〜1050nmまでの約20nm(約7THz)と蛍光幅の2倍以上の広帯域波長可変が可能であることを実証した。また、リング共振器のためのアクティブミラー方式と穴あきミラーによる4パス高密度励起方式を検討し、その基本特性の確認を行った。これらの結果は第43回応用物理学会関係連合講演会(27pZH8,1996.3印刷中)で発表の予定である。
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