数台のエンジニアリング・ワークステーション(EWS)をネットワークを介してつなげるネットワーク分散型による並列解析は、将来の大規模数値解析に対して有望と思われる。そこで、本研究は流れ場の数値解析にネットワーク分散型の並列解析を適用し、数値手法の開発と解析システムの構築を行うに際しての適合性の考察および検証を目的としている。 プログラムの開発としては、ネットワークにPVM(Parallel Virtual Machine)を採用した。解析対象としては、部分分解法による非圧縮性流体の解析とトルクコンバータ内翼列の乱流解析を取り上げた。ハードウェアの構成としては、研究室にあるEWS 4台(SUN Sparc10 2台、Silicon Graphics Incy 1台、HP Mocel 735/125 1台)である。 ネットワークの並列効率を向上するためには、各CPUでの解析量を多くするとともに、CPU間での転送データ量及び転送回数を低減する必要がある。したがって、毎時間ステップにおいてデータの交換を行わなくてはならない、部分分割法のアルゴリズムよりもタービンとインペラ-間の境界値の交換を行う機能分散型のアルゴリズムの方がネットワーク分散型による並列解析に適することが証明された。また、機能分散の一環として解析中にネットワークの妨げずに、解析途中の経過結果を逐次ポスト処理して表示する機能を追加し解析環境の向上を図った。
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