研究概要 |
我々はこれまでに、マウスストローマ細胞株(PA6)が、我々の樹立したヒトリンパ球前駆細胞株(FL細胞)に対し、ヒトサイトカイン(IL‐3,IL‐6,IL‐7)存在下で、組み換え活性化遺伝子(RAG)の発現を誘導し得ることを示してきた。又、PA6の中にはFL細胞に対するRAG誘導能を持つサブクローン(PA6+)と、持たないサブクローン(PA6-)が存在することも明らかにしてきた。 今回我々は、ディファレンシャルディスプレイ法を用い、PA6+に特異的に発現する遺伝子の単離を試みた。 PA6+およびPA6-由来RNAを用い、オリゴd(T)プライマーと(N)10プライマーにてRT-PCRを行う。PA6+由来RNAのみに増幅された遺伝子断片を分離し、これをプローブとして、PA6+cDNAライブラリーのスクリーニングを行った。その結果、221アミノ酸よりなるオープン-リーディング-フレームを含む1.0kbのcDNA(C2.3)が単離された。 この遺伝子は、既知の遺伝子とのホモロジーは無く、そのアミノ酸配列より4つの膜貫通部位を有する膜結合蛋白であると推察される。さらに、この遺伝子を導入することにより、PA6-がRAG誘導能を有するようになることを確認した。 これらのことから、我々の単離したC2.3がリンパ球前駆細胞に対するRAG発現誘導に関わるストローマ細胞上の分子をコードする遺伝子であることが示唆される。
|