予知性の高い骨造成を目的として、ラット頭頂骨骨膜下において生体非吸収性膜(ミリポアフィルター膜)あるいは生体吸収性膜(乳酸・グリコール酸共重合体膜)による力学的フレームと生物学的骨移植材料の同種脱灰骨もしくは生体材料のハイドロキシアパタイトとを組み合わせた移植体を埋入する実験を行い、主として組織学的検討を加えた結果、以下の所見を得た。 1.移植材料として骨誘導能を有する脱灰骨を用い、膜による骨形成の場の確保を行わなかった場合、埋入時の形態は維持できなかったものの、8週後では母床骨と一体化した骨が新生されていた。これに対し、骨伝導能のみを有するとされる生体材料のハイドロキシアパタイトを用いた場合の骨新生は母床骨側の一部にとどまり、大部分のアパタイト顆粒はもっぱら繊維性結合組織により被包されていた。 2.生体非吸収性膜のミリポアフィルターや生体吸収性膜の乳酸・グリコール酸共重合体膜を骨形成の場の確保に用いた場合、骨誘導能を有する脱灰骨は埋入時の移植体にほぼ沿った形態の骨新生を誘導した。一方、骨伝導能を有するアパタイトを組み合わせた場合には、大部分のアパタイト顆粒は成熟した繊維性結合組織により被包され、骨新生は母床骨の一部でみらるにとどまった。 3.膜のみを用いた群においては、いずれの場合でも観察期間中埋入時の形態を維持することができなかった。 以上の結果より、ミリポアフィルター膜ならびに乳酸・グリコール酸共重合体膜と脱灰骨とを組み合わせることで埋入時の形状にほぼ沿う骨新生が達成でき、骨誘導能を有する移植材料と膜テクニックによるGTR法とを組み合わせて応用することで予知性の高い骨造成が可能であることが明らかとなり、さらにその際には、生体内で吸収される材料である乳酸・グリコール酸共重合体膜がより有用である可能性が示唆され、予知性の高い骨造成を考える上でのGTR法を用いる骨造成プロセスを明確にし得た。
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