放射性廃棄物の実態調査については、郵送によるアンケートと面談による調査を行った。その結果、分類が難しいとされたのは、シリコン系のもので、これらの形状は主に管状のものであった。また、軟質塩化ビニル系のものとポリエチレン製のものの区別も、誤って行われる場合があることが判った。これらの形状はフィルム状のものと一部の手袋であった。 使用するγ線エネルギーについては、透過率の実測結果から、20〜200keV程度の範囲が有効で、100keV以下のエネルギー範囲に少なくとも2種類のエネルギーが必要であることが判った。このことから、γ線源としては^<109>Cd、^<201>Pb、^<133>Am、^<241>Ba、^<57>Coを選んだが、^<241>Am以外の線源では、最適な放射能が市販品では得難い、半減期が短い、同時に放出される高エネルギーγ線の影響等、実用上の問題点が残された。 分析装置の設計と試作においては、本方法では2種類以上のγ線が、試料の同一位置を透過する必要があるため、線源位置の再現性が測定精度に大きく影響した。この結果、試作装置において、管状の試料については直径が5mm以下のものでは分別できるまでの精度が得られなかった。これは、径の細い管状試料の場合、γ線透過位置のわずかな変化で透過する厚さが異なるためである。一方、フィルム状の試料については透過位置の影響を受けにくいが薄い試料の場合、透過率の差が少なく測定が難しい。結果として厚さが1mm程度になるまで重ねて測定すれば分別可能であった。 また、測定時に問題となったこととして、軟質の樹脂材料の場合、測定し易いように形状を整える等の目的で、外力を加えてから測定すると測定中に形状変化を起こし、著しく測定精度を低下させる場合がある。これは、実用化に向けての大きな課題となる。
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