研究課題/領域番号 |
07CE1001
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
尾高 煌之助 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90017658)
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研究分担者 |
平井 規之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (80017665)
寺西 重郎 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70017664)
清川 雪彦 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60017663)
富沢 賢治 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30017660)
南 亮進 一橋大学, 経済研究所, 教授 (80017657)
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キーワード | 国民経済計算 / 国民所得 / アジア / 極東ロシア / 経済発展 / 長期経済統計 / 数量経済史 / 地域環境経済 |
研究概要 |
(1)統計資料の所在調査・蔵書調査ならびに収集 各国(地域)の歴史ならびに現代統計および関連諸資料の所在を国内外にわたってひろく調査し、当研究所の蔵書との重複調査を経て研究所コレクションとしての収書計画の実行に懸かった。これらコレクションは、系統的に整理して蔵書カタログとしてもまとめたい意向で、文献情報のデータベースの構築に努力している。 (2)先行業績の展望ならびに独自の方法論の検討 各国(地域)ごとに、先行諸業績の批判的検討作業ならびにデータ整合性の検討を開始した。批判の対象としたのは、クズネッツ(Kuznets)を初めとして、フィリス・ディーン(Phyllis Deane)、バーグソン(Bergson)、ミッチェル(Mitchell)、大川一司、マディソン(Maddison)等である。さらに、1960年代の米国(エール大学)で、低開発国を中心とする長期経済発展に関するデータベース作成の共同研究が試みられたことがある(ただし完結せず)ので、その経験を当時の担当者の一人(ラグルス(Ruggles)博士)に面会して検討する機会をもった。 他方、データの整合性の検討とは、たとえば国民所得統計と投入・産出表との間に存在する不突合、中央政府統計と地方政府統計との間に見られる不整合、さらには生産物統計と労働力統計との間に発生する産業分類の不一致などを含み、データベース作成のために避けられない課題であって、本プロジェクトの進行中、繰返して実施されなければならない。不整合の原因のなかには、統計数値の誤り、精度の低さ、誤植等々も含まれる。 さらに、プロジェクト共同の入力フォーマットを作成すべく、国民経済計算体系(SNA)・国連統計局資料・国際標準分類等にしながら、商品分類、産業分類、職業分類、勘定体系、基準年等の標準化をはかりつつある。これは、作業成果の比較可能性を確立し、またデータベースの検索・利用のためのワークステーション・ネットワークを構築するためである。 (3)推計作業 統計資料が収集されたところから、データ入力ならびに推計作業を開始した。 この意味で、作業がもっとも進捗したのは台湾であり、この地域については、国内にデータの蓄積もあり、幸い台湾大学経済学部の専門家の助言も得て、19世紀末から1990年にいたるGDPとその構成要素とがほぼ完成した。(未完成の部分は、第二次大戦直前の個人消費支出系列 雇用統計と国勢調査とのつきあわせ、等である。)同様に、コリアについても比較的作業が進んだが、この地域については、朝鮮戦役後の朝鮮人民共和国の経済統計情報で不詳の部分が多いという問題をかかえている。 ロシアのGDP統計は、役人・産出表を連動して利用できるように推計されているところに、一つの大きな特徴がある。ただし、ロシア革命、ソ連邦の崩壊などの際に、地域の離合集散や境界線の変更があったために、時系列の接続性に難点がある。この点をいかに補整して、意味のある接続統計を作るのが、今後の課題の一つである。 フィリピン、トルコは、比較的経済史統計が整い、利用に便がある地域であるから、他の地域に先がけて、貿易、生産物を中心とする資料の収集とそのコンピューター入力作業を開始した。ただし、貿易統計は、その量が豊富なかわりに、商品分類基準がしばしば変更されること、さらに、貿易表の商品分類を国内生産活動の商品分類との間のミス・マッチが少なくないこと、等の問題があり、これを解決するにはまだ時間を要する。 (4)成果の公表にむけて 作業のための方法論的検討、中間的検討結果などは、独自のディスカッション・ペ-パ-およびリプリント・シリーズにまとめて公開した(業績一覧参照)。 同時に、作業内容等についての情報共有に資するため、ニュースレター(和文・英文)の刊行にとりかかった。
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