研究課題/領域番号 |
07F07015
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
熊野 直樹 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授
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研究分担者 |
JIN Z 九州大学, 大学院・法学研究院, 外国人特別研究員
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キーワード | 中国共産党 / 土地改革政策 / ドイツ / ダマーシュケ / 土地改革者同盟 / 青島 / 満洲 / 満鉄 |
研究概要 |
本研究の目的は、中国共産党の戦後初期の土地改革政策の歴史的起源が、ドイツのグスタフ・ダマーシュケを始めとする土地改革論者たちの土地改革論にあったことを実証することである。そこで当該年度においては、研究実施計画に基づいて関連史料の調査・収集に研究活動の重点が置かれた。具体的には、中国共産堂の土地改革政策並びに満鉄調査部の史料については、中国の吉林省档案館、吉林省図書館、長春市立図書館、延辺自治州档案館、延辺図書館を訪問して、関連資料の調査・収集を行った。そこにおいて本研究テーマに関連してとりわけ重要な史料を幾つも発掘することができたのは、重要な成果であった。 研究分担者である金哲氏は、2007年12月1日に「九州大学東アジア政治史コロキウム」という研究会において、「中国共産党の土地政策に関する考察」というタイトルで、この間における研究成果について研究報告を行った。そこにおいては、中国共産党の歴史的起源が1920年代まで遡って検討され、しかも本研究の当初の目的であった中国共産党の土地政策とドイツの土地改革論者らの土地改革政策との直接的な関連性が、当該年度において調査・発掘してきた史料によって見事に実証された。研究実施計画では、ドイツの土地改革論が満鉄調査部の土地改革論や土地政策を媒介して、東満洲の民主大同盟に継承され、そして中国共産党へと引き継がれたという仮説を立てていたが、現段階において判明したのは、満洲を経由せずに、ドイツの租借地を経由して結果的に中国共産党に継承されたというものである。これは、一国史の観点からでは導出できない視点であり、研究史的にみてきわめて重要な研究成果である。 以上のように、当該年度の研究実績は、概ね研究実施計画通りであり、仮説が概ね実証できたことはきわめて有意義であった。
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