研究課題
希土類金属は、そのf-f内部遷移に基づく多様な発光や光伝達が見られるが、許容な光吸収帯が紫外部に偏っており、その吸光係数も極めて小さい。そこで有機系配位子によるエネルギー移動を利用した吸収帯の活用が行われているが、配位子の振動モードを通した失活過程が問題となっている。これらの問題点を、巧妙な分子設計によって解決しつつ、光収穫と光エネルギー移動を高効率で行う材料の構築を行うことを、本研究の目的とした。本年度は、(1)可視部に発光領域を有するユーロピウムに注目して、紫外光エネルギー収穫・三重項エネルギー移動系の構築を行った。特に、フッ化物イオンの添加によってユーロピウム発光が消光される系を見出すことができた。また、(2)可視光駆動型の人工光合成アンテナの構築を目指して、クロロフィル誘導体とイッテリビウム錯体との超分子体の合成とその光物性の検討も行った。(1)フェナンスロリン誘導体を増感剤としたとユーロピウム錯体を新たに合成し、その発光現象をジメチルスルフォキシド中で検討した。フッ化物イオンの添加によって選択的なユーロピウム発光消光が見られ、このような錯体が化学センサーとして機能することを示せた。(2)カルボキシル基を有するクロロフィル-a誘導体を合成し、そのような化合物をイッテリビウム錯体に配位させることて超分子体を形成させ、クロロフィル誘導体の可視光励起に伴うイッテリビウムからの近紫外部からの発光を見出せた。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)
J. Photochem. Photobiol., A : Chem. 201
ページ: 87-90
Chem. Lett. 38(印刷中)
J. Photochem. Photobiol., A : Chem. (印刷中)