研究課題/領域番号 |
07F07069
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授
|
研究分担者 |
FAHIM N.F. 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
|
キーワード | 酸化物ナノチューブ / 配向 / 陽極酸化 / ハロゲンフリー / アレイ / ナノ構造 / 電気化学 / アスペクト比 |
研究概要 |
特異な低次元異方性ナノ構造を持つ酸化チタンナノチューブ(TiO_2NT、TNT)について、陽極酸化法を基礎とした電気化学的プロセスを用いて自己組織化的に配向成長させると共に、その配向性やサイズ、物性を任意に制御させて多様なエネルギー変換デバイスへ応用するための構造化プロセス構築とその構造・機能解明を目的とした研究を行っている。 初年度は陽極酸化法における制御因子として電解液組成や印加電圧などを精査し、その条件と構造の関連について調査した。配向型TNT合成には、金属チタンシートを原料とし、電解液として過塩素酸、リン酸アンモニウム、硫酸などの水溶液を選定し、2極式電気化学セルを用いて多様な電位により陽極酸化した。この結果、いずれの電解液でも長さ10μm、アスペクト比750:1以上の均一なナノチューブバンドルを基板に対して垂直に配向して合成することに成功した。更に、硫酸を用いた場合では長さ500nmのナノチューブが得られ、フッ素や塩素といったハロゲン成分を全く含まない系においても陽極酸化法で酸化チタンナノチューブを生成させることに初めて成功した。一方、フッ酸/硝酸の混酸によりTiシートを予備処理することで生成ナノチューブ長を更に増加できることを見出し、最大で50μm、アスペクト比1250:1以上のナノチューブバンドルを容易に且つ短時間に合成することに成功した。合成されたNTの電子顕微鏡観察の結果、合成直後のNTは外形40nm、内径10nmのアモルファスであることを確認した。更にこれらNTを熱処理したところ、450℃付近までにアナターゼ型に結晶化するものの、その形態に変化が無いことが判った。以上の結果から、容易に均一性の高いTNTアレイを合成するための基礎的プロセス条件最適化ができたことから、太陽電池電極やセンサーなど、多様なデバイスへの応用が期待された。
|