研究課題/領域番号 |
07F07069
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
関野 徹 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授
|
研究分担者 |
FAHIM N.F. 東北大学, 多元物質科学研究所, 外国人特別研究員
|
キーワード | 酸化物ナノチューブ / 配向 / 陽極酸化 / ハロゲンフリー / アレイ / ナノ構造 / 電気化学 / 湿式太陽電池 |
研究概要 |
これまでの研究成果である低環境負荷および急速な陽極酸化法を実現する電気化学的プロセスを基礎として、自己組織化的に合成された低次元異方性ナノ構造酸化チタンナノチューブの形成プロセスの更なる最適化を行った。得られた材料について光機能や電気機能を精査すると共に、太陽電池光電極への応用を行った。急速陽極酸化法で作製したTNT粉末を用いてチタニア光電極をペースト法にて作製し、これを用いたDSSC発電特性を評価した。一方、対極の反応性はDSSCセル発電特性に大きな影響を与えることからPt電極析出方法を変えたPt対極の触媒(酸化還元)特性についてもサイクリックボルタンメトリーにて評価を行った。陽極酸化法TNT粉末を透明導電性(フッ素ドープ酸化スズ、FTO)ガラス電極上にコーティングした光電極とし、FTO上に電析Ptを用いた対極としてイオン液体を電解質としたセルで、AM1.5条件下で変換効率3.5%と、TNT使用DSSCとして良好な変換効率を示すことを確認した。一方、Ti箔表面に直接生成させたTNTバンドル(束)を用い、下地Ti膜を電極としてそのまま用い、対極のPt膜電極から光を入射する従来のDSSCとは異なる構成のDSSCを作製し、その光電変換特性を評価した。この結果、従来とは異なる背面入射法でも太陽電池として機能することを見いだした。この変換効率は0.88%と通常のDSSCに比較してまだ低いものの、開放端電圧やフィルファクターが酸化チタン光電極としては高い事を見いだした。これらの結果より、金属-酸化物光電極の接合性が良好なことや適切な熱処理による高結晶性が寄与していると考えられ、環境低負荷な溶液を用いて急速に金属表面へTNTを形成する本研究のプロセスおよび得られた材料の優位性が示された。
|