研究概要 |
この研究の目的は、Si(111)微傾斜表面上の金吸着による一次元構造の原子構造及び温度による構造変化を明らかにすることである。特にsi(557)-Auとsi(553)-Au表面に集中する。まず、それらの表面の室温および低温における原子構造を明らかにする。そして、回折強度の温度依存を測定し、相転移のメカニズムを調べる。この研究は二年間行うが、ここで一年目の成果について記述する。 構造解析は表面X線回折を用いて高エネルギー加速器研究機構放射光施設(Photon Factory)とSPring-8で行うが、研究室で反射高速電子回折(RHEED)やLEEDを使い一次元構造も調べる。 金の吸着量等によって表面構造は大きく変わるから、金の一次元構造を作製するための最も適当な吸着量や蒸着温度を調べた。シリコンの111面の金吸着による5×2構造と比較し、一次元構造を作るに必要な金の量が分かった。表面の周期性はRHEEDで確認した。 2007年秋と2008年冬のビームタイムでPhoton FactoryでSi(557)-AuとSi(553)-Au一次元構造の表面回折実験をした。実験は室温で行った。測定した回折強度を使って構造解析は現在行っている。今年の春にPhoton FactoryでSi(553)-Au,SPring-8でSi(557)-Auの相転移の回折実験を行う予定である。 LEEDでsi(557)-Au一次元構造の相転移も調べた。しかし、相転移による回折強度の変化が確認できなかった。理由はまだ不明であるが、欠陥やSi基盤のドーピングによる相転移は起こらないということは考えられる。理論計算でsi(557)-Auとsi(553)-Auの構造を最適化した。最も安定な構造は他の論文と同じである。理論計算とx線回折から得られた原子位置を比較する予定である。
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