研究概要 |
CFRP接着補強されたスラブの押抜きせん断耐力に関する実験及び数値解析を行い,以下のことを明らかにした. (1)CFRP補強量を変数としたCFRP接着補強されたスラブの押抜きせん断耐力試験を行い,補強量が多いほど,押抜きせん断耐力と剛性が,補強されていないスラブと比べて大きいことを確認した. (2)CFRPシートを直交2方向に貼った場合,シートが交差している位置でシートの滑り量が少なくなることが確認され,滑り量を抑える必要があるときに有効である. (3)シートが交差していることによるその領域でのシートの付着性状の向上は,スラブの押抜きせん断耐力を工学的に意味がある程度に向上させるわけではない. (4)本研究での供試体に,既往の研究での供試体を加えた20以上の供試体の押抜きせん断性状を,本研究で開発した3次元有限要素解析プログラムでシミュレートし,耐力や剛性に加え,ひび割れ発生パターンなどの特性が再現できることが確かめられた. (5)前項(4)に示した20以上の供試体の実験変数として,CFRP補強量,シートの貼る範囲などがあるが,数値解析手法は,それらの変数が押抜きせん断耐力に与える影響も再現していることになる.また,押抜きせん断耐力を効果的に得るための,シートの貼り付け方を求めることも可能となる.数値解析結果に基づき,押抜きせん断耐力を算定するための,簡便なマクロモデルの構築のために,破壊面における中立軸深さの算定式を提示した.
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